「wifiルーターにアルミホイルを巻くと、電波が強くなって速度が上がるらしい」
そんな噂を聞いたことはありませんか。
まるで都市伝説のようですが、インターネット上ではアルミホイルを使ったWi-Fi速度改善のやり方が時折話題に上ります。
果たして、この方法は本当に効果があるのでしょうか?
この記事では、wifiルーターとアルミホイルに関する噂の真偽を、電波の仕組みから徹底検証します。
もし効果がある場合の正しい(かもしれない)やり方と注意点、そしてアルミホイルに頼るよりも遥かに確実な、Wi-Fi速度を改善する正しい方法を解説します。
噂の発端:「アルミホイルでWi-Fi電波を反射・増強できる」説
この噂は、単なる思いつきではなく、一応の理論に基づいています。
どのような仕組み?パラボラアンテナのような効果を期待?
アルミホイルのような金属は、Wi-Fiなどの電磁波(電波)を反射する性質があります。
この性質を利用し、ルーターの周囲にアルミホイルを特定の形状で配置することで、電波を不要な方向(例えば家の外壁側)へ飛ぶのを防ぎ、室内側の特定の方向へ反射・集中させることができるのではないか、という理屈です。
イメージとしては、衛星放送のパラボラアンテナが弱い電波を集めるのと似たような効果を狙ったものと言えます。
海外の研究や実験で一部効果が示唆された例も?
この噂は日本特有のものではなく、海外でも古くから存在します。
実際に、数年前にはアメリカの大学(ダートマス大学など)の研究者が、3Dプリンターで作った型に合わせてアルミホイルを成形することで、Wi-Fi電波の指向性を高め、特定の場所の電波強度を強めたり、逆に遮断したりできる可能性がある、という研究結果を発表したこともあります。
しかし、これは非常に精密に計算された形状での話です。
【結論】アルミホイルにWi-Fi速度改善の効果は期待薄?
では、私たちが家庭で手軽にアルミホイルを巻いた場合、本当に効果は期待できるのでしょうか。
結論から言うと、「期待薄であり、むしろ逆効果になるリスクもある」と考えられます。
電波の反射は複雑で、逆効果(電波干渉)になる可能性も
Wi-Fiの電波は非常に複雑な挙動をします。
素人がアルミホイルを手で成形してルーターの周囲に置いた場合、意図した通りに電波が反射・集中するとは限りません。
むしろ、電波が乱反射したり、ルーター自身が出した電波と反射した電波が干渉しあったりして、かえって通信品質を低下させる(速度が遅くなる、不安定になる)可能性があります。
特定の方向への指向性は高まるかもしれないが…
うまくいけば、アルミホイルを置いた反対側の電波強度がわずかに上がる可能性はゼロではありません。
しかし、その一方で、アルミホイルを置いた側の電波は遮断・減衰されるため、家全体としてのWi-Fi環境はかえって悪化する恐れがあります。
見た目の問題と、熱がこもりやすくなるリスク
キッチンから持ってきたアルミホイルをまとったwifi ルーターは、当然ながら見た目が非常に悪くなります。
さらに重大なリスクとして、ルーター本体をアルミホイルで覆ってしまうと、ルーターの排熱が妨げられ、内部に熱がこもりやすくなります。
これにより「熱暴走」を引き起こし、速度低下やフリーズ、最悪の場合は故障の原因にもなりかねません。
試す場合の注意点と「正しい」やり方(自己責任)
それでも「どうしてもアルミホイルの効果を試してみたい」という場合は、以下の点に注意して、あくまで自己責任で行ってください。
ルーター本体を覆うのはNG!熱暴走の原因に
前述の通り、ルーター本体(特に通気口)をアルミホイルで覆ったり、巻いたりするやり方は絶対にやめてください。
熱暴走のリスクが非常に高くなります。
反射板として「後ろ側」に置くイメージ?
試すならば、ルーター本体からは少し離し、電波を行かせたい方向の「反対側」に、屏風や段ボールに貼り付けたアルミホイルを「反射板」として立てる、といったやり方が考えられます。
例えば、ルーターが窓際にあり、室内側に電波を集中させたい場合、窓とルーターの間にアルミホイルの反射板を置くイメージです。
効果測定と比較:設置前後の速度を計測してみる
やり方を実行する前に、まずは現状の速度をスマートフォンなどで測定しておきましょう。
そして、アルミホイルを設置した後、同じ場所で再度速度を測定し、本当に効果があったのか(あるいは悪化していないか)を客観的に比較することが重要です。
アルミホイルより確実!Wi-Fi電波を強くする正しい方法
アルミホイルのような不確実な方法に頼るよりも、Wi-Fiの電波と速度を改善する確実な方法がいくつもあります。
方法1:ルーターの設置場所を最適化する(最重要)
Wi-Fi速度改善において最も効果が高く、今すぐできる方法は、ルーターの設置場所を見直すことです。
家の中心に近い、床から1~2mの高さの、周りに障害物がない開けた場所に置くだけで、電波状況は劇的に改善する可能性があります。
方法2:ルーターの向きやアンテナ角度を調整する
外付けアンテナがあるルーターの場合、アンテナの向きを調整することで電波の飛び方が変わります。
戸建てならアンテナを水平に倒してみるなど、設置環境に合わせたやり方を試しましょう。
方法3:中継器やメッシュWi-Fiを導入する
家の構造上、どうしても電波が届かない部屋がある場合は、Wi-Fi中継器や、より高性能なメッシュWi-Fiシステムを導入するのが最も確実な解決策です。
方法4:高性能なWi-Fiルーターに買い替える
使用しているwifi ルーターが古い(5年以上前など)場合、ルーター自体の性能が現在の通信環境に追いついていない可能性があります。
最新の高性能なルーターに買い替えることで、速度や安定性が根本的に改善されます。
まとめ
wifi ルーターにアルミホイルを巻く効果とやり方について検証しました。
- 噂の真相: 電波を反射させる理論だが、家庭での効果は不確実で、逆効果や熱暴走のリスクもある。
- 試す場合の注意: ルーター本体は覆わず、反射板として「後ろ側」に置く程度。効果測定を忘れずに。
- 確実な改善方法: アルミホイルに頼るより、「設置場所の最適化」「アンテナの向き調整」「中継器/メッシュWi-Fiの導入」「高性能ルーターへの買い替え」がはるかに効果的。
Wi-Fiの速度や電波に不満がある場合、まずはアルミホイルのような民間療法ではなく、記事で紹介した確実な改善方法から試してみることを強くおすすめします。

