「庭やテラス、ガレージでもWi-Fiを使いたい」「wifiルーターを屋外に設置したいけど、防水はどうすればいい?」「電源の延長や特別な工事は必要なの?」
そんなお悩みや希望はありませんか。
家の中だけでなく、庭でのバーベキュー、ガレージでのDIY、屋外防犯カメラの接続など、屋外でもWi-Fiを使いたいシーンは増えています。
しかし、家庭用のwifiルーターは屋外での使用を想定しておらず、防水対策なしに設置すると即座に故障してしまいます。
この記事では、wifiルーターを屋外に設置するための具体的な方法、そのリスクと必要な防水対策、電源延長や工事の必要性、そして屋外設置におすすめの専用機器(防水ケースや屋外用アクセスポイント)について詳しく解説します。
なぜWi-Fiルーターを屋外に設置したい?利用シーンと目的
まず、どのようなシーンで屋外Wi-Fiの需要があるのかを見ていきましょう。
目的1:庭やテラス、バルコニーでWi-Fiを使いたい
最も多いニーズがこれです。
天気の良い日に庭やテラス、バルコニーでノートパソコンを使って仕事をしたり、スマートフォンで動画や音楽を楽しんだりしたい場合、室内からの電波では弱すぎることがあります。
目的2:駐車場やガレージでスマートデバイス(カメラ等)を使いたい
近年増えているのが、駐車場やガレージでの利用です。
屋外用のWi-Fi防犯カメラの設置、スマートガレージシャッターの操作、カーナビの地図データ更新など、車やバイクに関連する用途でもWi-Fi接続が求められています。
目的3:離れや作業場でインターネット接続したい
母屋から少し離れた場所にある「離れ」や作業場、倉庫などでインターネットを使いたい場合、母屋のwifiルーターの電波が届かないため、屋外を経由して電波を中継・設置したいというケースです。
目的4:イベント会場や屋外施設での一時的な利用
地域のイベント、学校の行事、キャンプ場やバーベキュー場などで、一時的に屋外Wi-Fiスポットを提供したいという、短期的・業務 用途に近いニーズもあります。
屋内用Wi-Fiルーターを屋外設置する際の注意点とリスク
手軽に家の中にあるwifiルーターをそのまま屋外に持ち出すと、深刻なトラブルにつながります。
防水・防塵性能がないため、雨や湿気、砂埃で故障する
最大の危険性です。
家庭用のwifiルーターは屋外使用を一切想定しておらず、防水・防塵性能は皆無に等しいです。
小雨や夜露、結露などのわずかな水分でも、内部の電子回路がショートし、即座に故障する可能性があります。
また、砂埃などが内部に入り込むことも故障の原因となります。
温度変化(夏場の高温、冬場の低温)への耐性がない
屋外は、夏場の直射日光による想像以上の高温や、冬場の氷点下の低温など、非常に過酷な温度環境にさらされます。
屋内での使用を前提とした電子機器であるルーターは、このような過酷な温度変化に耐えられず、動作が不安定になったり、部品が劣化・破損したりするリスクが非常に高いです。
電源確保と配線(LANケーブル延長)の問題
屋外には、都合よくルーター用のコンセント(電源)がある場所は少ないです。
屋内から電源を延長コードで引いてくる必要がありますが、その延長コードや接続部分の防水対策も別途必要となり、感電や漏電のリスクも伴います。
また、親機となるルーターから屋外までLANケーブルを延長する場合も、ケーブル自体が屋外用の耐候性のあるものでないと、紫外線や温度変化ですぐに劣化し、断線してしまいます。
電波法に関する注意点(屋外利用可能な周波数帯)
これは非常に重要な法的リスクです。
Wi-Fiが使用する周波数帯のうち、5GHz帯の一部(W53:5.3GHz帯、W56:5.6GHz帯)は、気象レーダーや航空レーダーと干渉する可能性があるため、電波法によって屋外での使用が原則禁止されています(※免許不要で使えるのはW52(5.2GHz帯)や2.4GHz帯、6GHz帯など)。
屋内用のwifi ルーターをそのまま屋外で使うと、意図せず違法な電波を発信してしまう可能性があり、厳しく罰せられる対象となり得ます。
【対策】屋内用ルーターを屋外で使うための工夫
上記のリスクを理解した上で、それでも屋内用ルーターを屋外で使うための(推奨はしませんが)工夫を紹介します。
対策1:防水・防塵性能のある「屋外用保護ケース」を利用する
wifi ルーターや電源タップごと収納できる、防水・防塵規格(IPコード)に対応した屋外用の保護ボックス(防水ケース)が市販されています。
これを利用すれば、雨や埃から機器を守ることができます。
ただし、夏場のケース内部の温度上昇には注意が必要で、熱暴走のリスクは残ります。
対策2:軒下など、雨風や直射日光が当たりにくい場所に設置する
屋外とはいえ、できるだけ環境変化の少ない場所を選ぶことが重要です。
屋根のある軒下や、壁で覆われたベランダの内側など、直接雨風や直射日光が当たらない場所に設置することで、故障のリスクを多少軽減できます。
対策3:屋外配線用のLANケーブルや電源延長コードを使用する
ケーブル類は必ず「屋外用」と明記された製品を選んでください。
屋外用のLANケーブルは、被覆が二重になっていたり、耐候性のある素材(PE素材など)が使われていたりします。
電源の延長コードも、防雨型のプラグやコンセントを使用した製品を選ぶ必要があります。
屋外設置に特化した「屋外用Wi-Fiアクセスポイント」とは?
リスクを冒して屋内用ルーターを流用するよりも、屋外での使用を前提に設計された「屋外用Wi-Fiアクセスポイント(AP)」を導入するのが最も安全かつ確実な方法です。
屋外環境に耐える高い防水・防塵・耐候性能
屋外用APは、IP65やIP67といった高い防水・防塵規格に対応しており、風雨や砂埃にさらされる環境でも問題なく動作します。
また、-30℃~70℃といった広い動作温度範囲に対応しているモデルも多く、夏場や寒冷地での屋外設置にも耐えられます。
PoE給電対応モデルならLANケーブル一本で設置可能
屋外用APの多くは「PoE(Power over Ethernet)」という技術に対応しています。
これは、LANケーブル1本でデータ通信と電力供給の両方を行う技術です。
PoE対応のスイッチングハブ(またはPoEインジェクタ)が屋内側に必要ですが、屋外に電源コンセントを確保する必要がなくなり、設置の工事や配線が大幅に簡略化されます。
おすすめの屋外用アクセスポイント紹介
屋外用APは業務用(法人向け)のイメージが強いですが、近年は個人でも購入・設定しやすいモデルが増えています。
- TP-Link 「Omada EAPシリーズ」: EAP225-OutdoorやEAP610-Outdoorなど、防水・防塵対応でPoE給電に対応したモデルが比較的安価に提供されています。
- Ubiquiti 「UniFiシリーズ」: UniFi Access Point (UAP) の屋外モデルなど、高性能でデザイン性も高い製品があります。
これらが、屋外にWi-Fi環境を構築する上で最もおすすめの選択肢です。
その他の選択肢:屋外へのWi-Fiエリア拡張方法
大掛かりな設置をせず、屋外でWi-Fiを使いたい場合の代替案です。
窓際に中継器を設置して屋外へ電波を飛ばす
屋外に面した窓際(屋内側)にWi-Fi中継器を設置し、屋外に向けて電波を「リレー」させる方法です。
手軽ですが、窓ガラスによる減衰もあり、飛距離や速度は限定的です。
モバイルWi-Fiルーターやホームルーターを活用する
庭やガレージで使う時だけ、バッテリー駆動のモバイルWi-Fiルーターを持ち出す方法です。
これが最も手軽で安全かもしれません。
また、電源が確保できるなら、工事不要のホームルーターを一時的に持ち出すことも可能です。
まとめ
wifi ルーターの屋外設置について、その方法、リスク、対策、おすすめの機器を解説しました。
- 屋内用ルーターの屋外設置はNG: 防水・防塵・耐候性がなく、故障や電波法違反のリスクが非常に高い。
- どうしても設置する場合の対策: 防水ケース、軒下設置、屋外用ケーブルの使用が必須だが、リスクは残る。
- 最もおすすめな方法: 防水・防塵・耐候性を備え、PoE給電も可能な「屋外用アクセスポイント(AP)」を導入する。
- 代替案: 窓際に中継器を置くか、必要な時だけモバイルWi-Fiルーターを持ち出す。
屋外での快適なWi-Fi環境を安全に手に入れるためには、屋内用ルーターを無理に屋外に設置するのではなく、屋外専用に設計された機器を選ぶことを強く推奨します。

